駄目だっ。コイツなんとかしないとっ!
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 俺、渡瀬浩司はオヤジの急な転勤のあおりを喰らい、否応無く高校を転校させられた。別にソレが嫌な訳では無い。無論、望んで居た訳でも無いが、やはり家族一緒に居たいと言うオヤジやオフクロの言葉も分かるし、俺と離れたく無いと泣いた妹の事を思えば転校位は別段問題視する必要も無いだろう。幸いにも転入試験にも合格出来たし、まだ二年の一学期だ。ココからまた新しい人間関係を構築すれば良いだけの話だ。

 話なのだが……どうやら俺は転入する高校を激しく間違ったらしい。いっそオヤジがまた転勤になってくれないか? と本気で祈る毎日だ。それと言うのも「遅刻遅刻〜〜〜っ!!」

 ドンッ! と出会い頭にぶつかった――と言うか、コレは正確には体当たりを喰らった訳だ。つかどんだけの勢いだっ! 思い切り弾き飛ばされたぞ。
「痛って〜な。朝っぱらからどんな嫌がらせだ須藤亜美」
「え? キャッ!」
 自分で突撃しておいてめくれたスカートをワザとらしく抑えやがったこの当たり屋は須藤亜美。まさにコイツこそが目下、俺の最大の悩みの種だった。
「あは。ゴメンゴメン! マジ急いでたんだ〜。じゃね」と笑顔で立ち去ろうとするこのタワケを「チョット待て」と肩を掴んで止めた。うん。コイツは止めるべきだろう。
「おい、須藤亜美。お前は一体どう云う積りで……何故目を瞑る」しかも顎を上げるな! 唇を突き出すなっ!
「え? だって……いつもの事だし……ねぇ?」
 赤ら顔で笑うこの馬鹿の妄言は流すとして、些か、可也、否激しく問い詰めたい事が少し有る。
「食パンくわえて曲がり角で俺に体当たりを喰らわす事がいつもの事なのだったら明日からはソレは無しの方向で頼むとして、おい、須藤亜美」
「なに?」
「ソレは一体何処の制服だ」
「は?」
 キョトン? とした仕草に思わず俺がキョトン? としてしまいそうだ。何故朝からお約束のコスプレでお約束のイベントに突入してやがるんだコイツは。
「お前、コレから学校だってのに制服はどうした制服は。んなアホな格好でどうすんだよ」
「あはは。馬鹿だな〜浩司は」


 …………死にたくなった。コイツに馬鹿と笑われました。あはははははははぁぁぁ…………

「いい? 浩司。そもそも学校の制服なんてモノは学校側の生徒管理の一つの手法であり、生徒自身の自分の学び舎に対する帰属心や組織としての連帯感構築を目的の主とした手頃な一アイテムに過ぎないの。だけどソレは些か個人のアイデンティティを侵害するモノだとは思わない? 私は自身の立つ位置を明確に把握しているし、自分が黎明高校の二年で在る事に誇りと意義を感じているわ。その私が、仮に制服が違うと云うだけで学校側からいわれの無い中傷を浴びるのだとしたら、ソレは学校側の度量の小ささを知らしめるだけでは無く、果てしなく狭い視野と常識論を世間にアピールするに他ならないわ」
「言いたい事はそれだけか? お前は一度『校則』と言うモノを読んだ方が良いぞ。それと一般常識もな」
「知ってるわよ、校則位。てか、全部覚えてるし」
 ソレはソレで恐いな。
「あんな馬鹿げた文言をよくもあれだけ列挙出来たものだと感心するわね。アレは『校則』では無く『拘束』と言うのよ。あんなモノを免罪符に文句を言おうモノなら怒りを通り越して哀れみを感じるわね〜。私は誰にも拘束はされないし縛られる積もりも無いわ。私を縄で縛って良いのは浩司だけよ」
「どうしてソウなったっ!」
「え? でも私は上手く縛れないし」
「俺はどっちが縛られる側かで疑問は言ってないっ!」
 えぇい面倒臭ぇなぁおい。
 そう。この須藤亜美と云う女は、とにかくメンドクサイ女だった。
 転校早々、俺はクラスの一番後ろの席に座る事に成り、その隣にコイツが居たのだが、迂闊にも声を掛けてしまったのが運の尽きだったらしい。今からでも当時の自分をぶん殴りたい心境だ。
 確かにコイツは可愛い。と言うか美人と言うか、転校早々こんな美女の隣に座れて俺はラッキーだと浮かれたもんさ。しかしだ。天はコイツに容姿端麗スタイル抜群と言うキャッチフレーズだけでなく奇妙キテレツと言うキャッチフレーズまであてがってしまったらしい。
 既にクラス、と言うか学校全体から浮いた存在となってしまったこの須藤亜美に声を掛けてしまった俺は、どう言う訳かコイツに気に入られてしまった様で、もはやコイツの中では俺とコイツは将来墓石の中で囲碁を戯れる程に進んだ関係になっている様だ。
 コイツの戯言に付き合ってやる義理も無い。無いが、ソレでコイツがまた独り孤独になってしまうのでは些か寝付きが悪い話だ。我ながらお人好しと言うか物好きと言うか……だが、ココはやはり言って置かねばなるまい。
「OK。千歩譲ってお前がその馬鹿げた制服モドキで学校に行くのは良い」どうせ教師も放置だろう。俺が始めて声を掛けたのもコイツが猫耳を付けていたからだしな。
「うふふ。だから浩司は好きよ」
 うん。お前のその笑顔だけを見れば今すぐにでも芸能界にデビュー出来そうなんだがな
「だがその前に」
「な〜に」
 俺の腕に絡まるこの馬鹿に、コレだけは納得させよう。

「下着を着けろ」

 朝っぱらから凄ぇサービスショットをご馳走して貰ったがな? 俺は露出狂の変態少女と顔見知りに成った覚えは無いぞ。
「え?」
 と、驚く位ならさっさと
「見えちゃった?」
「今すぐ帰れ変態」
 出来の悪い制服モドキの胸元から見える景色にも驚くわっ!!
「はぁ〜……浩司。これだから貴方は」
 おい、なぜそんな哀れみを帯びた目で俺を見る?
「帰って如何するの? これから学校に行くんでしょうに」
「お前はその格好で行く気かっ!」
 全校男子の今夜のオカズはお前に決定だぞタワケがっ!
「あら? 私がこの格好で学校に登校する事に意義を申し立てる理由はこの場合二つ在る訳だけれど、一体ぜんたい浩司はその二つの内のどちらの理由で意義を申し立てるのかに私は興味が有るわ」
 そんなに偉そうに胸を張るなっ。色々と不味いから。
「まず一つ。貴方は学校側が押し付けている学校指定の制服に極度の性的興奮を感じるある種のマニア嗜好を持っている」
「だったら俺は毎日がパラダイスだな」
「そして二つ目に、貴方には年頃の女の子を自らの指揮下に置き、命令し隷属する事に至福の快楽を得るある種のサディズムな思考を有している」
「お前が俺の言う事を聞く様なら今のこの状況は無いと断言出来るっ」
「そして最後に」
「一つ増えたぞっ」
「貴方は私個人に対してある種の独占欲を有しており私のこの格好を他の人間には見せたくない」
「まぁ、見せたくないと言うべきか見せない方が良いと忠告していると言うべきか」
「むしろ私を貴方の部屋の座敷牢で飼い殺して肉欲の日々を貪りたいと常日頃から願っているか…………どれ?」



 どっ――――――と疲れた。

「先ず一つ目」
「あら?」
 なんで汚い物を見る様な目を向ける。
「俺には制服でハァハァ言ってる様な特殊な趣味は無い」
「それは……良かったわ」
 なんで残念そうな顔をするのか理解に苦しむが、もういい。俺がコイツを理解する事は生涯無いだろう。いや、無い方向で頼みたい。
「そして二つ目」
「えっ!」
 チョット待て。何故赤ら顔で一歩下がる。
「俺はサディストでもまければマゾヒストでも無い。極普通の一般的なドノーマルだ」
「えっ! でも私……ペドはちょっと」
「ペドでもロリでも勿論無いっ!」
「まぁ、意外ね」
 本当に意外そうな顔をするなコンチクショウ!
「そして最後に」
「そうね。そうよね」
 だからその服装で俺にへばりつくんじゃないっ。
「俺の家に座敷牢なんてモノは無いしお前を飼う積りも無いっ。女囲って酒池肉林を楽しむって、俺は何処の董卓だっ!」
「そんな事言って〜、男は皆ケ・ダ・モ・ノ、よ!」
「お前はいつもバカモノだがな」
 いい加減にこの馬鹿をどうにかしないと、いつの間にやらコイツの係りにさせられている俺に平和な学園生活が訪れる事は無いだろうと断言出来る。あぁ、神様。どうかコイツに常識をプレゼントして下さい。
 そんな俺の願いが神にでも届いたのだろうか
「仕方ないわね〜。浩司がソコまで言うんなら着替えてくるわよ」
「おっ、そうか。うん、お前にはいつもの制服の方が似合ってると思うぞ」
「ふふ。ありがと。でも……嬉しいな」
「ん?」
 なんだか凄く嬉しそうに笑うコイツを見てるとつくづく思う。ホント、素材は抜群なのにな〜〜、と。
「ど〜せこの服でこの中、見えちゃいそうで不安だったんでしょ? ちょっと隙間有るモンね、コレ」
 分かってるなら服を引っ張るな。そうしてるだけで先っちょが見えてしまうんだが……コイツやっぱりスタイル良い、ってかこう、ツンッと……黙れ俺! アレは芸術だ絵画だ彫刻だっ!
「でも浩司が私を心配してくれて嬉しかった」
「はいはい。俺もお前に喜んで貰えて良かったよ」
 俺もつくづく甘いらしい。俺以外にコイツの妄言&暴走に付き合う人間が居ないのであれば、俺が付き合ってやるしかあるまい? まぁその内なんとかなるだろ。
「あはは。でも安心してよねっ! 浩司」
「何がだよ」
 一体何処に安心の要素があるのやら。甚だ疑問なこの俺に
「ちゃんと水着着てるんだからっ! ほらっ!」

 言って、ばっ! とスカートを上げて見せるんだけど…………な?

「だから着てないだろ? 水着」
「へ?」

 ヒュ〜、と通る風が直に感じたのだろう。そのまま離したスカートが降り切る前に――

「いやーーーーーーーっ!!!!」

――現在十時。もう遅刻のレベルを通り越してるな。
 なんで俺が右ストレートを貰うのか、はたまた須藤亜美の着替えの為に家まで付き合わされてあまつさえ待たされているのかは全く持って理解出来ないが、まぁコレも――


 いつもの事だな、うん。
 
ダイちゃん 

2010年10月08日(金)08時27分 公開
■この作品の著作権はダイちゃんさんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
チョット参加してみたくて短いの書いてみました。
哲学? と考えてみたんだけど上手くは行かないな〜。
畑違いだったらすいません。


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2010年12月26日(日)17時16分 エキセントリクウ  +20点
スカートがめくれたら下着をつけてなかったって、朝から刺激的ですねー。
もういっそ、素っ裸だったってのはどうでしょう?

ドンッ!
「痛って〜な。須藤亜美」
「え? キャッ!」
「……って、おまえ素っ裸じゃねえか!」
「え? 見えちゃった? あは。ゴメンゴメン! マジ急いでたんだ〜。服着るヒマなくて。じゃね」
「お前、コレから学校だってのに制服はどうした制服は。んなアホな格好でどうすんだよ」
「あはは。馬鹿だな〜浩司は」
「今すぐ帰れ変態」
「帰って如何するの? これから学校に行くんでしょうに」
「お前はその格好で行く気かっ! 全校男子の今夜のオカズはお前に決定だぞタワケがっ!」
「え? だって……いつもの事だし……ねぇ?」
 どっ――――――と疲れた。


ていうか、お前も遅刻しそうとかいって、女の子とイチャついてないで早く学校行けよ(笑)。



62

pass
2010年12月15日(水)23時47分 n  -10点
「成年向け漫画」的ですね・・・
好きな方は好きなんだと思います。
挿絵がつくと、良いのかな?

ただ、リアリティーの無いわりに、ダイレクトに性的過ぎる感もあり。
61

pass
2010年12月05日(日)01時28分 呟き尾形  -10点
こんにちわ。呟き尾形と申します。

 駄目だっ。コイツなんとかしないとっ! を読ませていただきました。

 いわゆる、ラブコメ路線かとは思うのですが、いまひとつでした。

53

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