一刀両断
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「朝だよー。今日の朝御飯は味噌汁とさんまの塩焼きと小松菜のおひたしと納豆よー。……ほら起きなさい!」
 純和風の飯を作る同棲中の彼女は、現実主義者だ。
 現実主義自体が哲学と相容れないわけではないのだが、彼女は何というかこう……哲学とはことごとく、ことごとく、ことごとく相容れないタイプの現実主義者だ。

――人は何故生まれるのか。
「あんた、学校の保険の授業で習ったでしょ? 精子と卵子がこんにちはして生まれるのよ」

――人は何のために生きるのか。
「種の保存でしょ。生物に刻まれた本能じゃないの」

――人はどのように生きるべきか。
「他人を害せず、五体満足な子供を生んで、責任持って育てる。おばあちゃんにそう教わらなかった?」

 だから哲学の話をするのはやめた。
 やめたんだが、食卓についたばかりの寝起きの頭だとつい、ぽろっと口から漏れてしまうことが、ある。
「人は何のために飯を食うのか」
 彼女は即答した。
「馬っ鹿ねぇ。生き続けるためでしょ。
 生きて経験を積み重ねていけば、成長して思考も深まって、あんたの好きな哲学とやらも前に進むんじゃないの?」
「…………」
 時々、こいつ哲学とか全部わかってんじゃねーのと思うときがある。
 けれど多分、やっぱりわかっちゃいないのだろう。
 彼女が小松菜にかつお節を乗せて醤油をかける。俺は箸を手にとって小松菜へと伸ばす。彼女はそんな俺を睨む。
「いただきます、は?」
「……いただきます」

 人は、補完し合って生きている。
まがるストロー 

2010年10月27日(水)09時13分 公開
■この作品の著作権はまがるストローさんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
拙作に目を留めてくださりありがとうございます。
哲学ってむずかしいです。
萌えもむずかしいです。


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2011年01月08日(土)18時06分 n  0点
お腹が空きます。おいしそうです。
すらすらっと読めて気持ちがいいのですが、
あまり残るものがないです。
哲学と相容れない(?)彼女に諦めてしまい、丸くなった後の彼より、
もっと前、哲学の話をバンバンして戦っていた頃の二人を見たいです。
66

pass
2010年10月31日(日)15時18分 キャン  -10点
彼氏そもそも哲学の話をしてない。萌えもない。せめて萌えは欲しかった。
75

pass
2010年10月28日(木)23時53分 じょにぃA 92Pce3FM5g +10点
 はじめまして、じょにぃAと申します。
 個人的ではありますが、感想を書きたいと思います。

 さらりと読ませてもらいました。ただ、さらりと読めた割には、何というか、読み終わった後、モヤリとするものを感じました。
 突き放したクールビューティーはカッコいいと思います。言い切る人に人生哲学的な感覚が生じる時があるのも分かります。
 それは確かにそうなのですが、その割には、彼女さんの姿が上手く見えないというか、もう少し話を聞きたいというか。
 作品自体が短いからなのかなぁ?そんな感じです。

 もう少し先を読んでみたいと思いました。
 ありがとうございました。
78

pass
2010年10月27日(水)22時39分 開蔵  0点
うーん。残念ながら哲学的でも現実的でもなく、常識的ですね。そもそも現実的ってなんでしょう。
錯覚や幻視だって現実に起きたことですし、現実的じゃありません?幻肢痛とかまさに。
さて感想ですが、萌え要素が見当たらないので哲学的要素に絞ります。

>「種の保存でしょ。生物に刻まれた本能じゃないの」
彼女が現実的ではないと私に言わしめた箇所は特にここです。
ただ、種の保存という本能があるとしても、それを人間の生の目的や意志とするのは非現実的かなぁ。
彼女の無哲学的な先入観が、俺君の拙い問いから喚起されたのでしょうね。

反哲学的彼女の試みならもろ手を上げて応援せざるを得ない!期待しています!
74

pass
2010年10月27日(水)18時34分 いも M8vT5jA.U. -10点
彼女は現実主義者ですらないですよね。
彼女の主張はすべて「伝聞体」であり、なんら批判が加わっていません。
そこに「彼女の考え」は何も存在していません。

76

pass
2010年10月27日(水)16時11分 まちー RCPb5pz4Tw +10点
作品を読ませていただきました。彼女の断言口調が気持ちよく、また、それゆえに突っ込みたい。いや、突っ込むって彼女の考えにですよ、考えに。
文章は読みやすかったです。
彼女の竹を割ったようなまっすぐさと勢いあるセリフ、
そして冷静な彼の一人称のバランスが良く、
特に引っかからずにテンポ良く読めました。
哲学的要素ですが、ヒロインよりも彼の客観的態度?に感じましたが、ヒロインにはあまり感じませんでした。
萌え的要素ですが、彼女の外見描写がなかったのが気になりました。
枚数的には整っていますが、もう少し枚数を増やして「哲学」と「萌え」を盛り込んだストーリーを、作者様のテンポの良い文章で読んでみたい気がしました。
ではでは。
81

pass
合計 6人 0点


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